フォトグラメトリとは

フォトグラメトリとは、写真画像から対象物の正確な形状、寸法、位置などの幾何学的な情報を計測し、3次元（3D）モデルを生成する技術のことです。日本語では「写真測量」とも訳されます。

航空写真や地上から撮影された写真など、異なる視点から撮影された複数の画像データに含まれる情報を解析し、コンピューターソフトウェアが自動で各画像の対応点を見つけ出し、対象の立体的な形状を再構成します。

仕組み（基本的な流れ）

1. 画像撮影（データ取得）:
   対象物の周囲を回りながら、様々な角度から画像を撮影します。
   複数の画像間で重なり合う部分（オーバーラップ）が十分に確保されていることが重要です。

2. 画像解析と特徴点抽出:
   専用のソフトウェアが各画像から特徴点（建物の角、テクスチャのパターンなど）を抽出します。

3. 位置合わせ（アライメント）:
   複数の画像間で共通する特徴点を照合し、それぞれの画像がどの位置・角度から撮影されたかを計算し、正確に位置合わせ（アライメント）を行います。

4. 密な点群の生成（3D座標の決定）:
   位置合わせが完了した後、さらに多くの点を抽出し、対象物の形状を示す密な点群（ポイントクラウド）を生成します。

5. メッシュとテクスチャの生成:
   点群を基に、ポリゴンと呼ばれる小さな三角形の集まり（メッシュ）を生成し、滑らかな3D形状を構成します。
   元の写真画像から色や模様を抽出し、メッシュ表面に貼り付けることで、リアルなテクスチャを持つ3Dモデルが完成します。

用途

• VR/AR/メタバース: 現実の物体や景観をデジタルデータ化し、バーチャル空間へ持ち込む（ご質問にあった用途）。

• 建築・土木: 建造物の現況計測、文化財のデジタルアーカイブ、工事進捗管理など。

• ゲーム・映画: 現実の物体や風景をキャプチャし、ゲーム内の背景やアセットとして利用。

• 医療: 手術シミュレーション用の人体モデル作成など。

メリット

• 手軽さ: スマートフォンや一般的なデジタルカメラで撮影できるため、専用の高価なスキャナーが不要です。

• 高解像度: 写真の解像度が高ければ高いほど、テクスチャ（色や模様）の忠実な再現が可能です。

• 非接触: 対象物に触れることなく計測できるため、文化財などのデリケートな対象物の計測に適しています。